NPB球団が「女子チーム」を持つ意義と希望 小林雅英氏語る「12球団に広がって」

2019年に日本女子プロ野球リーグの投手総合コーチを務めた小林雅英氏【写真:荒川祐史】
2019年に日本女子プロ野球リーグの投手総合コーチを務めた小林雅英氏【写真:荒川祐史】

女子は小学校低学年以下の子供の指導にも向いている

 小林氏は「西武と阪神が女子のために練習の場を作り、トップチームと同じユニホームを着せてくれるだけでも、選手たちのモチベーションは上がり、子供たちの目標になる」とうなずき、「女子野球の普及には時間がかかる。高いお金を出してくれる必要はなくて、損得なしで今のような支援を継続してくれることが重要だと思う」と付け加えた。願わくば、「これが12球団に広がってくれたら。全国のクラブチームでリーグ戦を行った上で、日本シリーズのようなものをNPB主催でやってもらえたら理想的」と言う。

 女子野球が盛んになれば、NPBを含む球界全体に好影響を与えるのは間違いない。「女子野球選手が増えれば、将来的に野球好きのお母さんが増える。自分の子供に野球ボールを握らせてくれる可能性が高くなり、野球人口の底辺拡大につながる」というのが小林氏の持論だ。「僕らの子供の頃とは違って、放っておいても数多くの子供が野球をやってくれる時代ではない。子供に興味を持ってもらえるように、こちらから働きかけないといけない」と訴える。

 女性は初心者の指導にも向いているという。小林氏は少年野球教室の指導者を務めた経験から「小学生の高学年になれば、元プロ野球選手に教わることを喜んでくれるが、5歳から10歳くらいまでの、これから野球をやってみようか迷っているような子供にとっては、僕ら元プロ選手は単なる“ゴツイおっさん”で、腰が引けてしまう」と指摘。「その点、女子が教えた方が当たりが良くて、子供が寄ってくる。食いつき、雰囲気も良くなる」と見ている。

 まだまだ長い道のりだが、女子野球を育てることは球界全体の夢をはぐくむことにつながっていく。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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