「毎日投げさせたら壊れます」 元日ハム武田久氏が説く数に頼らない投手指導法とは

指導はシンプル、ストライクゾーンは3分割で意識させる

 たくさん投げなければ、覚えられないという理論もあるが、武田氏は懐疑的だ。「それもあるとは思います」と一部を肯定した上で続けた。「200球、300球を投げた後に体がほぐれて良い球を投げられると言う人がいるじゃないですか。じゃあ、試合前に200球投げればいいと思いませんか? でも、実際にやっている人はいませんよね。仮にそれだけ投げるなら、最低中3日、4日は投げないようにしないと。そこだけを切り取って、アマチュアの指導者が『プロは200球、300球投げているぞ』と言って毎日投げさせたら壊れますよ」と警鐘を鳴らす。

 プロ野球の世界で語られる“溜め込み論”にも首をひねる。「よくキャンプで1年分の体力をつけると言いますよね。7月、8月にその効果が出るんだって。例えるなら10キロの肉を食べた効果が、夏場に出ますか? それだったら、僕は100グラムの肉を毎日食べた方がいいと思います」と極端な投げ込みや走り込みといった練習ではなく、継続的なアプローチを勧める。

 技術的な指導では、ストライクゾーンを9分割ではなく、3分割で意識させている。「まずは右バッターの外と左バッターの外、両サイドにしっかり投げるのが基本。その上でストラクゾーンに投げられる子には、ゾーンを下げていこうと言います。初めからアウトロー、アウトローというと、ストライクが入らなくなってしまいます。だから、順番としてまずはコースを頑張ろう、高さはミスってもいいと。変化球は上は下かで言ったら、下で頑張ろうと言います」とシンプルだ。

 コントロールに関するこの考え方は、アマチュア選手のためにあえて簡単にしている訳ではない。「実際に僕もそれぐらいのレベルでしかやっていなかったので。有利なカウントとか仕留めなきゃいけないカウントはしっかり狙っていきますけど、全部が全部そんなピッチングをしても疲れちゃうし、そんなコントールは無理だと思いますよ」

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