「環境を変えたい」アイデア社長は学童野球の監督 畳める打撃ネット誕生秘話

代表の吉村尚記さん【写真提供:フィールドフォース】
代表の吉村尚記さん【写真提供:フィールドフォース】

社内では1か月に最低3つのアイディアを商品化する、約70点が“準備中”

 指導者としての目線は野球用品にも向けられている。

 例えば、都心のチームはグラウンドの確保が大変だ。河川敷のグラウンドが取れたとしても、十分な広さがない時もある。また、午前と午後で違う場所をおさえることができた場合、移動しなくてはならないこともある。そこで生まれたのが、冒頭でも記した簡単に運ぶことができる「折り畳める野球ネット」だ。

「昔からあるタイプのネットは私からすると欠点の塊です。溶接してあるし、場所もとる。学童チームは練習場所がないんですよ。だったら、こういった商品を作ろうと思ったのが組み立て式ネットです」

 他にも1人で素振りをする時に効果のあるアイテムや捕球練習、送球練習ができるものなど、オンラインショップで販売されているものは300種類以上。その中には練習用品だけではなく、まだ野球を始めていない子どもたちも純粋に楽しめるアイテムもある。社内ルールで1か月に最低3つ、会議を重ねて商品化することを心がけている。現時点ではさらに約70点が開発中だという。

「いかに未就学児の方たちを野球というスポーツへ、橋渡しができるか。野球を全く知らない子たちに、打つ、投げることの楽しさを伝えられるか。これを本気で取り組んでいきたいと思っています」

 ボールパークを近所の幼稚園や保育園の児童に限り、無償で開放する時間もある。柔らかいボールや太いバットを貸し出し、楽しんでもらう。施設外には、地域の少年野球チームの募集ポスターが貼ってある。フィールドフォースから“自分たちでいいチームを選んでくださいね”というメッセージが込められている。

「今後は選手がチームを選ぶ時代です。チームも頑張らないと、衰退していくだけになってしまう。そこに力を入れていきたいと考えていきます」

 少年野球の現場を知っているからこそ、アイデアが生まれる。15年も少年野球を見ているから、未来もイメージができる。野球の指導と同様、意見の押しつけはしない。ただ、いろいろな引き出しだけは用意してあげたい。その品質の高さが技術の向上にもつながっていく。そして、アイデアの数だけ、子どもたちの可能性を広げていくことになる。

【動画】今は打撃ネットが折り畳めて運べる時代に

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