理想は巨人・小林誠司 女子ソフト界の強肩捕手はマリーンズジュニアを経験した逸材
巨人・小林の動画を見てスムーズなステップを学んでいる
さらに、重要視しているのが送球のコントロールと無駄のない動き。カギとなるのがステップだ。「ソフトボールは塁間が短い分、どれだけステップを速く踏めるかが重要になる。安定した形を身に付けて、コントロールの精度も上げないと盗塁は刺せない。まだまだ課題だと思っている」。試合では焦りが出ることもあり、二塁への送球が一塁方向へずれることがあるという。理想とするのは、巨人・小林誠司捕手のスローイング。動画を見ながら、スムーズなステップを学んでいる。
捕手は扇の要。切石はスローイング以上に、コミュニケーションと配球を大切にしている。プレーは捕手がサインを出すところから始まるため「投手も野手も動かすのが捕手の役割。チームのみんなから信頼されることが一番の目標」と捕手像を描く。トヨタ自動車で4年目を迎え、打者のスイングや見逃し方を観察しながら、投手の良さを引き出す配球ができるようになってきたと自身の成長を感じている。
5月8日のシオノギ製薬戦で完全試合を成し遂げた三輪さくらをリードする時に意識するのは「打者の裏をかくリード」。多彩な球種の中から軸になる球を決め、打者に狙い球を絞らせない。また、三輪は考えて投球するタイプのため「2人で考え始めるとテンポが悪くなる。緩急を使って打たせて取るのが持ち味なので、テンポが大切になる」と呼吸とリズムを合わせている。
一方、翌9日の豊田自動織機戦でノーヒットノーランを達成した後藤希友がマウンドに立つと「強気の配球」に変わる。「後藤は分かっていても打てない真っすぐを投げる。スピードもキレもコントロールもいい。考えて投げるタイプではないので、強気で攻めるリードをするとついてきてくれる」。力で打者を制圧するシンプルな組み立てで、リーグ屈指の速球を活かしている。
切石は高校2年からトヨタ自動車1年目まで日本代表の強化指定選手に選ばれるなど、潜在能力や将来性は抜群。武器とする強肩に磨きをかけ、捕手に必要な経験を積み重ねれば、女子ソフトボール界の顔になる日は決して遠くない。
(間淳 / Jun Aida)