伝説の「上野の413球」を本人に直撃… “由岐子魂”引き継ぐ大野&千賀の覚悟

伝説の「上野の413球」を本人に直撃した大野雄大

 一方、大野も「満塁のピンチにも、周りは全然心配していなかったと思う。上野さんなら乗り越えてくれると、守っている人もベンチも、僕のようにテレビで見ている人も、みんな安心していたのではないか。実際、しのぎ方もさすがやなと思いました」とうなずいた。

 上野といえば、2008年北京五輪での「上野の413球」が伝説となっている。8月20日に準決勝・米国戦と決勝進出決定戦・オーストラリア戦に連投し、翌21日の決勝・米国戦も完投。2日間3試合の投球数が413に上り、日本代表を悲願の金メダル獲得に導いた。

 大野は自主トレで上野と顔を合わせた際、「413球」について直接質問をぶつけたことがあると言う。「『私は体が張っている状態の方が調子がいい』と話されていました。その精神力に驚き、『体は気持ちで動くんやな』と感心したことを覚えています」と振り返る。

 千賀は今年4月10日の試合中に左足首靭帯損傷の大怪我を負い、一時は五輪出場を絶望視されたが、どうにか“滑り込み”で間に合わせた。大野も今季は3勝7敗、防御率3.57で、沢村賞を初受賞した昨季ほどの勢いはない。2人とも普段はもちろん先発の柱だが、今大会は「投げる場所がどこであろうと、思い切り腕を振る準備をするだけ」(千賀)、「稲葉監督にも建山投手コーチにも、『どこでもやります』と伝えてあります」(大野)と慣れないリリーフも辞さない。

 22日に39歳の誕生日を迎えた上野の奮闘ぶりを見せられれば、28歳の千賀はもちろん、32歳の大野も臆するわけにいかない。上野の精神力と驚異的なタフネスを見習い、言い訳なしで金メダル獲得の原動力となる覚悟だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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