TikTok84万人の野球女子「まつりの」ってどんな子? 今はSNSを“封印”するワケ
きっかけは友人の投稿、徐々に女子野球への貢献や応援のコメントが原動力に
「とても厳しかったです。入ってたくさん落ち込みました」。何度も辞めようと思ったが「周りも一緒だからという気持ちで頑張ることができました」。つらい練習も、日本一という目標のためなら頑張れる。チームメートと一緒に乗り越えていった。
練習後の時間や休日に息抜きとして利用してたTikTok。まさか人生を大きく変える“転機”になるとは思ってもみなかった。練習着姿でチームメートと一緒に踊る動画が「オススメ」に載ると、瞬く間に拡散。当初は女子野球を広めたいという気はなかった。その一方で、人気になればなるほど、周りの目も厳しくなる。西内友広監督に「TikTokをやりたいのか、野球をやりたいのか。はっきりしろ」と厳しい言葉を向けられ、「野球をやめます」と言い返したこともあった。
ただ、“女子野球”という自らのアイデンティティを教えてくれたのも、TikTokだった。フォロワーは増え、コメント欄には「妹が野球始めました」「里乃さんが部活を頑張っているので、自分も部活を頑張れます」「ソフトボールをやっていたのですが、高校から野球部に入ります」といった声が多く寄せられた。「女子野球はマイナーなスポーツなので。人口増加に貢献できているというのが嬉しかったし、自分の力にもなった」。責任も感じつつ、応援の言葉が原動力にもなっていった。
今は「まつりの」をお休みして、野球に没頭する「松本投手」。120キロに迫る直球が武器の一方で、制球に難があった。西内監督や1学年下のエース・和田千波留投手にも相談し、体が開かないフォームに改造。「今は自分で言うのもなんですが、すごく調子がいいんです。フィットしてきました」。3週間の試行錯誤で制球は改善し、テンポもよくなった。
最後の夏は、和田の後ろで控える。「日本一と甲子園が一緒に叶う。決まった当時は嬉しかったですが、緊張に変わってきました」。高校野球を終えても、専門学校に進んでプレーは続けるつもり。「野球も、動画投稿も、続けていきたいと考えています。夏大会が終わったらまた投稿を始めて、女子野球の良さを伝え続けたい」。日本一を獲って、またSNSで元気な姿を見せたい。