他競技でも「素質ある」 元女子プロのレジェンドが“野球外”から勧誘するワケ

京都文教大の女子硬式野球部総監督・小西美加さん【写真:shochin16】
京都文教大の女子硬式野球部総監督・小西美加さん【写真:shochin16】

プロ通算82勝の小西美加、2021年から京都文教大の総監督として後進を指導

 女子プロ野球で10年間プレーし、史上最多の通算82勝を挙げたレジェンド・小西美加さん。2021年から、京都文教大の女子硬式野球部総監督として後進の指導にあたっている。このクラブの大きな特徴は、大学の部活動と地域のクラブチームという2本立てで運営しようとしているところだ。

 大学チームの選手として登録するには学生である必要があるが、クラブにはその制限はない。小西自身もクラブの現役選手として登録し、プレーヤーとしても大学生や社会人の育成のため、全力を注いでいる。コロナ禍で選手の募集が思うように進まないというジレンマはあるが、「全国で他にはない形です」と、門戸を大きく広げ女子野球の普及を進めようとしている。

 ここで積極的に進めているのが、野球経験のない選手の勧誘だ。すでにサッカーやテニスの経験をもつ選手が体験に訪れており、小西は「野球をできない環境にいても、素質のある子はいます。いろんな経験をしているほうが、野球に生きる可能性もあると思う」と狙いを話す。かつて自身も野球を続ける環境に困り、短距離や円盤投げといった陸上競技や、ソフトボールに打ち込んだ経験がある。同じような環境にある選手を、再び野球の世界に呼び込めればと考えた結果だ。

 特に、革製のボールを使う大学のソフトボールからは、大きな違和感なく野球に転向できる可能性があると言う。「野球とソフトの垣根が低くなれば、両方で生かせる選手も生まれるかもしれませんね」と、競技をまたにかけた“二刀流”の出現までイメージする。

 女子野球界に広く目を向ければ、2020年まで女子プロ野球でプレーした三浦伊織(現阪神タイガースWomen)は高校時代、インターハイ本戦まで進んだほどのテニス選手。「打つときに点で打つのではなく、線で捉えなければいけないのは野球との共通点」と話している。さらに思いもつかない他競技から、野球に飛び込む選手も生まれるかもしれない。

女子野球発展への大目標「競技構造をきれいなピラミッド型にしたい」

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