「絶対にやらない」3つの指導 元横浜高監督が明かす“未来ある選手”の育成法とは?

絶対にしない「小さくまとめる」「型にはめる」「酷使する」

 私には、指導する上で絶対にやらないと決めていたことが3つありました。「小さくまとめる」、「型にはめる」、「酷使する」。例えば、バットを短く持たせてコンパクトなスイングをさせれば、能力の高い選手は一定の結果を出してくれるでしょう。ただ、それでは伸びしろを奪ってしまうことになります。ホームランが打てる能力を持った選手を、アベレージヒッターにしたくはありません。いい投手をできるだけ多く投げさせれば、勝利の確率は高くなりますが、酷使した結果、将来を奪ってしまう危険性もあります。

 全国制覇を期待される中、甲子園で結果を出せずに苦しい部分はありました。2年半で選手が入れ替わるということにも難しさがあります。でも、好素材の選手ほど時間が必要です。私は時間がかかっても、最終的には結果と育成を両立できると信じてやってきました。

 だからこそ、万波選手や阪神に入団した及川雅貴投手のような選手が、次のステージで活躍しているのを見るととてもうれしく感じます。私は基本的に、選手の打ち方や投げ方はよほど問題がない限りいじりません。サイドスローを勧めたりすることはありますが、それは何か創意工夫をしなければ生き残れないと判断された場合です。それも強制はせずに、選択肢の1つとして提案する形です。

 育成に重点を置きすぎる分、周囲の期待に応えられないこともあったと感じています。今思えば、自分で「時間をかけて結果と育成を両立させる」という方針を打ち出していたのですから、もっともっと選手をフォローできたと思っています。結果が出ずに苦しんでいる選手に「全然、気にしなくていいぞ」、「思い切ってやれよ」、「進むべき方向性は間違っていないんだから」と言って励ましてあげることが大切だと考えます。

(First-Pitch編集部)

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