「カッコよくあれ」中学野球に新風を吹かす 新生硬式チームが挑む新たな形とは?

豪州でのプレー経験を持つ阪口監督はプロ指導者として子どもたちと向き合う(右)【写真提供:茅ヶ崎ブラックキャップス】
豪州でのプレー経験を持つ阪口監督はプロ指導者として子どもたちと向き合う(右)【写真提供:茅ヶ崎ブラックキャップス】

フィジカルの専門家たちが子どもたちを指導「多様性を持って」

 活動場所は、茅ヶ崎に拠点を置く文教大学湘南キャンパスがグラウンドを提供してくれた。監督を務める阪口泰佑さんはオーストラリアリーグの野球経験を持つパーソナルトレーナーで、コーチ陣も野球経験者ばかり。専属マネージャーもいるため、父兄によるお茶くみ当番制はない。時には、デポルターレクラブから陸上トレーニングの専門家がやってきて走り方の指導をしたり、栄養の専門家がやってきて食事についてのアドバイスを送ったりもする。

「僕も高校まで野球をやっていましたが、今は野球界に何のしがらみがない立場。だから、僕が思うベストにチャレンジしていくだけなんです。僕は仕事でいろいろな競技のアスリートと接してきたおかげで、それぞれの世界の考え方を知ることができました。野球界では常識なことが他では非常識だったり、サッカーでは十分というトレーニング量が他競技では足りなかったり。野球が上手くなってほしいけれど野球の枠には囚われず、高校に行って他のスポーツで能力を発揮できるようになってもいいと思っていますし、スポーツ以外でも社会で活躍できるような多様性を持ってもらいたいですね」

 規模の大きいボーイズリーグやシニアリーグではなくポニーリーグに加盟したのも、リーグをあげて中学硬式野球に新風を吹かせようという姿勢に共感したからだ。

「非常に柔軟性があって素晴らしいリーグ。野球は試合に出て学ぶという方針で、3年生だけではなく、1年生にも2年生にもリーグがあって、2年生のリーグに出られない子は1年生のリーグに出てもいいとなっている。そういう柔軟性があるからこそ、僕らのスタイルを貫けたところはあります」

 茅ヶ崎ブラックキャップスではユニホームを膝丈にしてストッキングを穿くスタイルに限らず、プロ野球選手やメジャーリーガーのようなロングパンツを選択肢の一つとして採用。ポニーリーグの許可も得て、公式戦でも着用している。

「そもそも、なんで中学生はロングパンツが禁止されているのか不思議だったんですよ。子どもたちはプロ選手のロングパンツ姿に憧れてカッコいいと思って野球を始めるのに、いざチームに入ったらストッキングを穿くオールドスタイル。あのスタイルが好きで選択しているならまだしも、外の世界から見ると『なんで?』と思ったんです」

型がなければ型破りにはなれない…茅ヶ崎が用意する型とは

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