「カッコよくあれ」中学野球に新風を吹かす 新生硬式チームが挑む新たな形とは?

型がなければ型破りにはなれない…茅ヶ崎が用意する型とは

 野球界の枠に囚われない自由な発想がチームの基盤になってはいるが、子どもたちを指導する際はまず「型」を意識するという。そこには元サッカー日本代表・岡田武史さんから教わった「型がなければ型破りにはなれない」という“守破離”の考えがある。

「例えば、FCバルセロナ出身の選手は自由にプレーしているように見えるけれど、実はまずはバルセロナの型を身につけてから、それを破って離れていくんだと仰有っていました。だから、最初はある程度の型を作ることが大事。挨拶をすることだったり、守備位置までダッシュすることだったり、茅ヶ崎の型があって、それを選手たちが破って離れていくことが理想だと思います。いきなり子どもたちに自由にやれというのは、逆に無責任だとも思います」

 それでは、茅ヶ崎ブラックキャップスは子どもたちにどんな型を用意するのか。「カッコいいこと、ですね」と竹下さんは笑顔を浮かべる。

「カッコいいと言っても色々定義はあると思います。ユニホームの着こなしであったり、試合用の帽子を普段から被らないことであったり、見た目ももちろん大事ですけど、やっぱり行動としてカッコ悪いことはするなと言っていますね。例えば、一度始めたことを簡単に諦めたり、負けてもヘラヘラしていたり、太陽が目に入ったと言い訳したり、そういうのはカッコ悪い。そもそも、試合に勝てないのもカッコ悪いことなので、子どもたちには『だから勝ってカッコよくなろうぜ』と言っています。今のメンバーが3年生になる頃には戦えるチームになればいいかな、と」

 シーズン1年目が終わりに近づき、現在は来春に向けて2期生を迎える準備を進めているところだ。メンバー募集は茅ヶ崎市在住・在学者に限定される予定だが、痛快なジャイアントキリングを一緒に起こしたいという仲間が増えることを願っている。そして2年後、創立メンバーでもある1期生14人がそれぞれにどんなカッコよさを身につけ、羽ばたいていくのか。茅ヶ崎ブラックキャップスの挑戦は始まったばかりだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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