議員と監督“異色のパラレルキャリア” 野球エリートが北の大地で注ぐ情熱
北海学園大監督として30年ぶりに全日本大学選手権出場を果たす
晴れて議員になると、早速公約実現のために動いた。雪捨て場になっていた建設予定地について第三者の評価を得るため、国土交通省への補助金応募を後押しして、1490万円を獲得。東京のリサーチ会社に依頼して、魅力のある土地であるという評価をもらった。その上で日本ハムの2軍の試合ができる規模の硬式野球場を建設したいと球団関係者に相談すると、ちょうど球団は水面化で札幌ドームからの移転先を探し始めたタイミングだった。
結果的に札幌市との誘致合戦を制し、総工費600億円をかけた新球場のほか、商業施設やマンションの建設計画も進む。市の知名度は一気に上がり、昨年度のふるさと納税額は2億7000万円を超えた。
野球場をきっかけに市議会議員になった島崎さんだが、政策がスポーツに偏っているわけではない。「公園の電気が切れているから見に来てほしい」といった地域の人々の生活にまつわる声を聞いて改善に動く一方、将来を見据えた政策提案まで活動は幅広い。観光協会の一般社団法人化を政策提案し、新球場完成後の国内や海外からの観光客受け入れ体制を整えたり、市外に通う高校生の通学支援助成を実現させるなど奔走する。
島崎さんにとって市議会議員と並ぶもう一つの軸である北海学園大の監督としては、就任2年目の今年6月に自身が出場した1991年以来30年ぶりとなる全日本大学選手権出場を果たした。
市議会議員と監督の“パラレルキャリア”で結果を出している島崎さんは、スポーツ選手にセカンドキャリアとしての市町村会議員を勧める。「地元に帰って、自分でスポーツ教室を開いたりしながら、議員として生まれ育った地域のために活動する。人脈を含めスポーツ界で様々なものを養ってきた人にピッタリだと思います」と説いた。
〇島崎圭介(しまざき・けいすけ)1971年6月18日、札幌市生まれの50歳。3歳の時に広島町(現北広島市)に移住。北広島広葉中卒業後、北海高、北海学園大、NTT北海道で投手として活躍した。高校3年夏の甲子園、大学2年春の全日本大学選手権、社会人では2度の都市対抗出場を果たした。25歳で現役引退後に教員免許を取得し、札幌日大高の監督として2002年春の甲子園に出場した。政治家として医療の経験を積みたいと考え、2012年に同校を退職し、札幌市内の医療法人に管理職として勤務すると同時に、北海学園大のコーチを引き受けた。2019年オフに監督に就任し、今年の全日本大学選手権に30年ぶりの出場を果たした。北広島市議会議員選挙には2015年4月に初出馬して30人中3番目の得票数で初当選。現在2期目で議会運営委員長を務める。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)