“平均年収1500万”を蹴り鷹のアナリストに プロ野球の世界に飛び込む東大生の挑戦

試合中は井手峻監督(左)の横が定位置。監督とは戦術についてコミュニケーションを交わす【写真:小林靖】
試合中は井手峻監督(左)の横が定位置。監督とは戦術についてコミュニケーションを交わす【写真:小林靖】

「野球でもそうですけど、チャンスはそんなに多くない」

 お金よりも、自分がやりたいことを選んだ。その時点で球団からアナリストとしてのオファーがあったわけではない。卒業を控える4年生が9月に“宙ぶらりん”の状態になったわけだが、不安はなかった。

「野球でもそうですけど、チャンスはそんなに多くない。本気でモノにしたいと思いました。SNSは就職活動のつもりで、これを球団の人の目に届けることが、自分のチャンスになるかなと思って」

 なんとか球団関係者の目に留まってくれないかな……。淡い期待を胸に、発信により力を入れようと思っていた矢先だった。秋季リーグ戦期間中、ソフトバンクからアナリストとして働かないかと連絡を受けた。担当者がSNSを見てくれていたことがきっかけだった。

「是非お願いします、という感じでした」

 将来的に起業したいという思いもあったことから、1人で会社を立ち上げ、業務委託契約を結ぶ形をとった。社名は下の名前「あまね」をもじって「アマテクノ」と名付けた。来年1月から1年間の契約で、「GM付データ分析担当」として選手のパフォーマンスアップや編成などに携わる予定だ。

 東大のアナリストから、NPB球団のアナリストへ。組織は違えど“勝つため”という最終目標は同じ。会社としては、今後野球以外の社会問題にも取り組みたいという夢もあるという。「新庄監督を見ていても思うんですけど、『次どんなことをするんだろう』とワクワクさせる会社、人間でありたいなと思います」。貪欲な21歳の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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