野球ママが抱える“最大の悩み” プロが教えるアナウンスの不安を解消させるヒント

元オリックス球団職員で現在はアナウンススクールを開いている藤生恭子さん【写真:本人提供】
元オリックス球団職員で現在はアナウンススクールを開いている藤生恭子さん【写真:本人提供】

野球専門のアナウンススクールを運営する藤生恭子さんが伝授

 少年野球の保護者に多い悩みのひとつに「アナウンス」がある。「声が通らない」「声が裏返りそう」など不安は様々。プロはどんな意識をしているのか。ファンから人気もあった元オリックス球団職員で、現在はアナウンススクールを開いている藤生恭子さんは、声の出し方以上に大事なことがあると言う。

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 私が野球専門のアナウンススクール「ベースボールプランニング」を始めてから10年以上が経ちましたが、スクールに来る方で一番多いのは少年野球のお母さんです。そのお母さんたちや、他の野球ママさんからも多いのは「声が通らない」「声が裏返る」という悩みです。

 解決するために最も大切なのは、声を鍛えるのではなく、野球を知ることなんです。皆さんも経験があると思いますが、自信がない時は声が小さくなりますよね。少年野球のアナウンスでも、いつ、どんな内容を話せばいいのかが分からないので声が小さくなったり、裏返ったりします。

 実はプロや社会人、大学、高校など様々なカテゴリーがある中で、少年野球のアナウンスが一番難しいんです。理由は色々あります。例えば、ベンチからネクストバッターズサークル、ネクストバッターズサークルからバッターボックスまでの距離が長いプロ野球と違って、少年野球の会場は広くありません。ベンチからバッターボックスまでゆったりと歩いて向かうプロ野球選手と違い、少年野球の子どもたちは駆け足です。少年野球はプロ野球と比べて、時間的にも精神的にも、ゆっくりアナウンスするゆとりがありません。

 また、プロ野球はポジションが決まっていますが、少年野球はポジションの入れ替わりや選手交代が激しいですよね。同時に4、5人が入れ替わる時もあります。審判さんの違いもあります。プロ野球は審判さんもプロですが、少年野球は保護者が手伝うケースがあります。審判さんからの伝達に差があるので、アナウンスする側の難易度が上がります。

 まず、野球ママさんたちには「アナウンスのタイミング」を覚えてもらうのがいいと思います。アナウンスをしていい場面と、してはいけない場面を知っておくと不安が軽減します。プレー中にアナウンスすると試合の進行を妨げてしまうので、攻守交代のタイミングや捕手が投手に返球するタイミングなど、「ここまでにアナウンスを終える」「この時にアナウンスを始める」というように把握しておけば、迷いがなくなります。声が小さくなったり、裏返ったりしなくなるはずです。声の質を高めるよりも、試合の流れを知ってアナウンスのタイミングを掴むことが、悩みの解消につながると思います。

【動画】美しく声が通る…野球ママが参考にしたい元オリ球団職員のアナウンス

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