アナウンスの質を高める“スコアの付け方” 少年野球のママにプロが伝える目的
オリックスの元ウグイス嬢・藤生恭子さんが実践
試合のアナウンスには、スコアブックの活用が欠かせない。ただ、少年野球の保護者の中にはスコアの付け方が分からない人もいるだろう。プロ野球・オリックスの元球団職員で、現在は野球専門のアナウンススクールを開いている藤生恭子さんは、アナウンス上達への“コツ”を紹介。記録員とは違うアナウンスのための付け方があるという。
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私も試合のスコアを付けながら、アナウンスをしています。ただ、記録員の方のスコアとは目的が異なるので、書き方も違います。あくまで、スコアはアナウンスの質を高めるための手段です。
少年野球のアナウンスをする時にスコアを付けた方がいい理由は、主に3つあります。1つ目はイニングの先頭打者を把握するためです。バッターボックスに入った打者を確認してからアナウンスを始めたら投球と重なってしまい、集中している選手やお客さんの邪魔になっていまいます。イニングが終わったら、次はどの選手から攻撃が始まるのかを知っておくのは大切です。
2つ目の目的は、各選手の最初の打席を把握するためです。1打席目だけ「4番センター佐藤、センター佐藤」と名前を2回呼びます。スタメンの選手は分かりやすいですが、守備で途中出場した選手を記録しておかないと、最初の打席を見落としてしまいがちです。スコアを付けると、どのイニングから出場したのか一目瞭然です。
3つ目は、複雑な形で代走が出た時への備えです。例えば2死満塁から、二塁走者に代走が起用されたとします。審判さんは代走で入る選手の名前しかコールしません。二塁からベンチに下がる選手の背番号は、こちらから見えないので、スコアを付けていないと代走と交代する選手が瞬時に分からないのです。少年野球で使う場面はないかもしれませんが、ヒーローインタビューの時にもスコアブックを活用しています。試合展開や活躍した場面を把握しておいた方が選手に具体的な質問ができます。
必要な情報がスコアブックに書いてあればいいので、1球、1球カウントをつける必要はありません。アナウンスに支障が出てしまいます。自分が見て分かれば問題ないので、決められた表記で書かなくても、どの選手でイニングが終わったのか、それぞれの選手の打席結果などをメモ書きする方法でもいいと思います。
(Full-Count編集部)
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