自ら“ゴミを拾う”選手の育て方 強豪シニア率いる元巨人投手の「言わない」指導

あえて指導せず、見て覚えさせることも

「常に周りを見て最善の判断ができるのが、野球にも生きてくるので。例えば『ゴミを拾いなさい』と指導されて拾うのは誰でもできますけど、何も言わずに拾うのが“気付いている”人間なんです」

 気付きを促すためには、時には「言うのを我慢することも大事」だと話す。あえて何も言わずに、監督自らゴミを拾うところを見せることで、気付かせる時もあるという。

 ただ、野球の練習だけで身につくものではない。「普段の生活から気付けなかったら、グラウンドで気付けるわけがないんです。だから選手には『90度だけじゃなくて、周りの270度が大事だよ』と伝えています」。本塁から見たグラウンドのフェアゾーンの角度を引き合いに出し、視野を広げようとしている。

 育てたいのは、人間力のある選手。そして、人間力を育てられる人材になること。「プロもうれしいですけど、教員になって、選手らを指導する立場になってもらいたいですよね」。原田監督の目線は、選手育成の先を見据えている。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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