「勝ちを目指さない」のに全国へ 岐阜アミーゴの“ブレない指導”が起こした変化

細心の注意を払うため、部員数11人ながらも肩や肘の故障者はいない【写真提供:岐阜アミーゴヤング】
細心の注意を払うため、部員数11人ながらも肩や肘の故障者はいない【写真提供:岐阜アミーゴヤング】

チーム代表がトレーナー、怪我予防を徹底し肩や肘の故障者はゼロ

 体のケアを大切にしているのも選手の将来を最優先にしているためで、チームの大きな特徴でもある。小山代表は元々、整骨院を開業しており、トレーナーとして米国に留学した経験もある。選手のフィジカルを鍛えながら、怪我の予防に注意を払っている。チームの代表という立場でありながら、ほぼ毎回、練習に顔を出して選手の動きを確認する。怪我につながる可能性のある変化を見逃さないためだ。

「体を気にする仕草を見せる選手には声を掛けますし、痛みがなくてもフォームが崩れてきたらノースローにした方がいいと監督やコーチに伝えます。選手も不調を感じたら言いにくるようになりました。他のチームと一番違うのは、指導者とトレーナーが情報共有して、これ以上やったら怪我をするという線引きができているところだと思います」

 少年野球で問題になっている肩や肘の故障を経験した選手はいない。指導者が勝利を優先させて中心選手に無理をさせたり、子どもたちが痛みや違和感を指導者に打ち明けられなかったりすると大きな怪我を引き起こしてしまうが、岐阜アミーゴヤングは、こうしたリスクや不安を取り除いている。1年生の河田大輝内野手は「試合に出られなくなるかもと最初は思いましたが、将来のことを考えて体のことは監督や代表に伝えています」と話した。

 チーム方針は今でこそ、保護者や選手に浸透している。だが、創立当初は理解を得るのが難しかった。中学2年生の1期生は14人がチームに入り、残っているのは8人。小山代表は「最初は勝てませんし、勝利よりも選手の将来を考えているという説明に納得してもらうのは時間がかかりました。昨年の夏くらいから、子どもたちの意識が急激に変わったと感じています。強豪硬式クラブチームとの試合を通じて自分に何が足りないのか、どうすればいいのか考えるようになりました」と紆余曲折を振り返る。

創立当初は大敗続き、6人がチームを去ってもブレない指導方針

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY