「勝ちを目指さない」のに全国へ 岐阜アミーゴの“ブレない指導”が起こした変化

創立当初は大敗続き、6人がチームを去ってもブレない指導方針

 苦しい時期もチームの方針は決してブレなかった。小山代表は「指導者の思いを信じていますし、何かを変えようとは思わなかったです」と語る。その結果、子どもたちは着実に力をつけていった。そして、「勝ちを目指していない」はずのチームは昨年11月の東海支部予選で準優勝し、全国への切符を手にした。

 小山代表は「全国大会は通過点です。これをステップに子どもたちには、プロへ行くためにどの高校に進むのかを考えてもらいたい」と力を込める。有山監督も「6人選手が抜けても、指導方針や気持ちに変化は一切ありませんでした。自分を信じてチームに残っている子どもたちに失礼ですから。1期生の結果が出なかったら考えないといけない部分はありますが、1期生が残り1年で最高の答えを出せるように指導していきたいと思います」と先を見据えた。

 将来に向けて高い目標を設定する方針は、有山監督自身が実践している。大阪桐蔭高3年時の2008年夏の甲子園で優勝し、四国アイランドリーグplusの香川でプレーした経験を持つが、指導者は現在のチームが初めて。それでも、リーグに所属する際、関係者や他のチームの監督の前で「3年で全国に行けるチームをつくります」と宣言した。

「大きなことを掲げれば、できなかった時に恥ずかしい思いをします。自分に負荷をかけるからこそ、子どもたちと真剣に向き合えます。プレッシャーは大きいほど成長できます。万が一、目標に届かなくても、保険をかけた小さな目標を達成するより上のステージにいけるはずです」。1年前倒しで全国大会出場を果たし、目標を高く設定する大切さを証明した。

 全国大会は3月に岡山県倉敷市で開催される。選手たちは、その舞台をステップに将来を描いている。1年生の大岩桔平内野手は「うまくなるために大阪桐蔭に行って、プロ野球で活躍できる選手になりたいです」と話し、同じく1年生の皆川瑛翔投手も「高校はプロに一番近いと思っている大阪桐蔭を目指しています。将来はメジャーにも行きたいです」と目を輝かせる。勝ちを目指さない。その真意を選手たちは十分に理解している。

(間淳 / Jun Aida)

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