都内で“硬式も打てる”室内練習場 進路選択もサポート、目指すのは「少年野球の相談所」
4月には中学生対象の野球塾を開校、園児への施設開放構想も
緒方氏が進路についても的確に助言できるのはシニア監督時代に培った経験があるからだ。当時、個々の選手と計4回の面談を経て一緒に進路を絞っていたという。最初は中学2年生の年末までに、選手に気になる高校や好きな高校を10校書かせる。2回目の面談では、どんな高校に進みたいか、条件を10個ほど箇条書きして提出させる。県大会でベスト8以上、寮があるなど野球に関わるものから、男女共学、スポーツクラスがあるなど高校生活のことまで様々だ。
次に、志望校10校を箇条書きにした条件と照らし合わせて点数化し、自分の希望に合った高校を絞り込んでいく。漠然と高校を選ぶのではなく、理由を明確にするためだ。ここに、学業成績と野球の実力を加味する。最後の4回目は保護者を交えた3者面談。声がかかっている高校を伝えて、家族で相談してもらう。保護者には事前の説明会で、進路相談の進め方を伝えていたという。
「所属したシニアやボーイズによって、進学する高校が既に固まっている印象を持っている保護者がいますが、実際にそんなことはありません。自分はもうシニアの監督をしているわけではないので出しゃばるつもりはなく、レギュラー当落線上の選手や補欠の選手を中心に、この練習場に来て進路に悩んでいる選手のサポートをしたいと思っています。他の施設管理者とは違った自分なりの役割だと感じています」
チームの指導者を離れたからこそ、見えること、できることがあると緒方氏は考えている。思い描くのは、練習に来て悩みも打ち明けられる「野球相談所」。その一環として、4月からは中学生を対象にした野球塾「OBC野球塾」を開く。さらに、その先に見据えるビジョンがある。「まだ構想の段階ですが、中学生の次は小学校高学年の野球塾を開いて、その後は小学校低学年や園児に施設を無料開放する時間をつくりたいと思っています。今は子どもたちがボール遊びをする場所が都心にはありませんから」。野球を通じて人がつながり、輪が広がる。都会につくられた約300平方メートルの室内練習場には希望が詰まっている。
(間淳 / Jun Aida)
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