地域と連動する「部活動指導員」って? 硬式やクラブチームだけでない中学野球部のメリット

中学で部活動を選択するメリットはある、部員を増やすための秘策は?

――人手不足や、顧問の先生が野球を教えることができないという学校も増え、中学の野球部の部活動が“消滅危機”に直面していると聞きます。部員不足に悩む中学野球部も多いようですが、三鷹二中はどうでしょうか?

 学区内に学童野球チームが3つもありまして、各学年10人以上部員が集まるんです。もちろん硬式のクラブチームに進む子もいますが、費用面の問題もありますから、家庭によっては部活動を選ぶようです。

――部活動指導員を採用しているところをみると、自治体も部活動のあり方に目を向けている気がします。

 三鷹市は小中一貫教育に熱心ということもあって、部活動でも小中の連携ができないか検討しているところです。海外では地域スポーツクラブが根付いていて、それこそ幼稚園からプロまで串刺しで一本になっているじゃないですか。三鷹二中の学区で小中9年間を一貫指導できたら面白いなと考えたりしています。まったく同じではありませんが、部活動を軸に学校が地域に密着した形で存在していく、新しい在り方ですよね。

――小学校で一緒にやっていた“先輩”の進路は子どもたちの中では気になるポイントではありますね。それに学童の卒団から、中学入学までの時間も多ければ3か月ほどあります。具体的に部員を増やすための取り組みをお考えですか?

 学童野球の子たちって、6年生の12月に卒団すると中学入学まで「やることがない」という話しをよく耳にするんです。だから12月に学区内3チームの6年生を集めて、中学生が審判をする卒業試合をしてあげて、翌週からは野球部の練習に参加してもらう。そうやって入学後の部活動へとつなげられたらいいなと考えています。

――高校でも野球を続けて、甲子園を目指すような子達は、クラブチームを選ぶことが多いと思うのですが、中学で部活動を選ぶメリットはどこにあるのでしょう?

 部活動では単にスポーツをするだけではありません。教職の専門家である先生が指導、監督にあたり、教育課程とも連携が図られていますから、子ども達にとっては学びの場でもあるんです。クラブチームと比べて、より教育的効果は高いと言えるでしょうね。

――部活動か、クラブチームかではなく、大事なのは子どもたちの成長であり、野球人口の拡大ということですね。

 そういうことです(笑)。日本には野球の一貫指導がほとんどありませんから。小学生が中学生のプレイを見て目標にしたり、中学生が小学生に野球を教えるなど連携することでのメリットは多く、どんなことができるのかワクワクしています。

〇家城雅一(やしろ・まさかず)1960年5月27日生まれ、東京都出身。桐蔭学園中学、高校で野球部に所属し選手として技術を磨き、大学までプレー。日本マクドナルドで少年軟式野球などスポーツマネージメントに携わるかたわら、指導者として世田谷区の学童野球チームの監督を15年経験した。2012年に日本スポーツ協会の公認コーチ資格を取得。2015年にスポーツメンタルコーチ認定資格を取得し、2017年8月からは三鷹市立第ニ中学校の部活動指導員として野球部の指導にあたっている。

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(石川哲也 / Tetsuya Ishikawa)

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