「男子と別の形の確立を」現役指導者が考える女子野球の“独自の魅力”とは
ユニホームもファッションの一部、野球人口拡大の一因に
野球未経験の選手を含め、全ての部員が野球の楽しさを味わえるように、弓桁監督は選手起用に気を配っている。練習試合や公式戦では、できる限り多くの選手を試合に出場させている。「理想は、練習試合のトータルで野手は全員が同じ打席数、投手は同じイニング数にして公式戦のメンバーを決めたいです。試合でもチャンスの場面で代打を送って選手1人1人の可能性を広げたり、モチベーションを上げたりする起用を心がけています」。メンバーを固定した方が、勝つ確率は上がる。だが、そこに女子野球が目指すべきゴールはないと考えている。
野球を楽しむ要素はプレーだけではない。弓桁監督は「女子野球をするのはファッションの1つだと感じています。ユニホームは制服を選ぶ感覚と似ています。ユニホームのかっこよさに惹かれた選手もいますし、東海の縦じまに憧れて入部した選手も多いです」と語る。チームは東海大系列のため、デザインのベースは決まっているが、部員たちでユニホームやパーカーにピンク色のラインを入れるなどアレンジしている。他にも、東海大系列伝統の縦じまをデザインしたキーホルダーなどの小物も手作り。身に付けている洋服やアクセサリーで気分が変わるように、ファッション性は女子野球の競技人口を増やし、女子野球を知ってもらうきっかけとなる。
弓桁監督は中学と高校で男子の野球を指導していた時、常に全国大会を目指しながらも、勝利至上主義への疑問を感じていた。「女子高校野球は男子高校野球を目指すのではなく、女子ならではの特徴を生かした別の形を確立した方がいいと思っています」。男子野球のイメージにはない明るい笑顔やファッション。女子野球独自の魅力を発信して競技人口を増やすため、弓桁監督は「50%+50%」の指導を貫いていく。
(間淳 / Jun Aida)
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