練習時間の“短縮”が切り開いたプロへの道 前田幸長氏が伝える「賢い時間の使い方」

ロッテや巨人などで活躍した前田幸長氏【写真:荒川祐史】
ロッテや巨人などで活躍した前田幸長氏【写真:荒川祐史】

全国制覇も果たした「都筑中央ボーイズ」の練習は1日4時間

 ロッテや巨人などで左腕投手として活躍した前田幸長氏は現在、全国制覇も果たした中学硬式野球チーム「都筑中央ボーイズ」で会長を務めている。野球の練習は朝から夕方まで丸1日というイメージが強いが、ここでは1日4時間ほど。短時間で集中して練習するのは、前田氏が「プロ野球選手になる」という目標を実現させた経験からだった。

 福岡第一高から1988年のドラフト1位でロッテに入団し、中日、巨人と3球団で活躍した前田幸長氏には、忘れられない出会いがある。高校1年の秋、臨時コーチに声をかけられた。

「プロ野球選手になれるぞ」

 前田氏は野球をやっていて、初めてほめられたという。「高校生だったので鵜呑みにして、その気になりました。自分のスイッチが入りました」。漠然と描いていた目標を、明確に定めるようになった。意識が変われば行動が変わる。前田氏は短時間で集中して練習するようにした。今まで3時間かかっていたメニューを1時間半で消化。貯金した時間で、自分の課題に取り組んだ。

「練習している時は目いっぱい、自分を追い込みました。自分に何が必要かと考えることで、能力が伸びていくと気付けたのが大きかったですね」

 自主性が成長につながると学んだ前田氏は、自身の経験を子どもたちに伝えている。会長を務める「都筑中央ボーイズ」で土日の活動を基本的に4時間以内と決めているのは、自主的に練習する大切さを教えるためだ。

「子どもの集中力は長く続きません。短期集中で練習して少し余力が残るようにすると、夕方にバットを振る選手もいるし、トレーニングする選手もいると思います」

 学校が休みの土日は、朝から夕方まで全体練習をするなど、野球の練習時間は長いと言われる中、前田氏のチームは半日で練習を終える。それでも全国大会優勝などの結果を出しているのは、練習の質と自主性がパフォーマンスに大きく影響することの証と言える。時間は、どの選手にも平等に与えられている。その使い方で結果が変わる。

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