「野球はリズムと記憶力」強豪シニアの監督が重視、選手に響く“声の掛け方”とは
記憶に残すため、最初から答えは与えずに「質問」する
佐藤監督が、もう1つ大事にするのが記憶力。打撃にも守備にも生きると説く。
「相手打者が前の打席でどんな打撃をしたのか覚えていれば、バッテリーは配球を考えられます。スイングの特徴を記憶しておけば、傾向をつかんで、素振りやファウルしたスイングを見て打球方向を予測できます。アマチュアであれば、リズムと記憶力の2つを意識するだけでパフォーマンスは変わってくると思います」
選手にプレーの記憶が刻まれるように、佐藤監督は選手への声の掛け方を工夫している。改善が必要なプレーに対して、すぐに答えを伝えない。例えば1死二塁の守備で、遊撃手がゴロを捕球して一塁でアウトを奪い、続く打者への暴投で1点を失ったとする。ベンチに帰ってきた選手に、佐藤監督は「今の回、失点した理由はどこにあると思う?」と問う。
思うような答えが出てこない場合は、「2死三塁と、2死一塁、どっちが守りやすい? その理由は?」と質問を変える。はじめから「ショートゴロの時に、二塁走者をアウトにすることを最優先に考えないとダメ」「三塁へ送球するように周りが声を出さないと。走者が三塁に進んだら、バッテリーミスで失点する可能性がある」などと伝えない。質問形式にして選手自身が答えを出すように導くと、選手の記憶に残るのだ。
野球の技術向上を期待できる「リズムと記憶力」。小学生の時から体や脳に覚えさせれば、中学生以降でライバルに差をつけられるかもしれない。
(間淳 / Jun Aida)
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