練習で分かる少年野球日本一のワケ 選手が自ら動いてうまくなる監督の“仕掛け”

内野守備を行う多賀少年野球クラブ【写真:間淳】
内野守備を行う多賀少年野球クラブ【写真:間淳】

マシン打撃で守備も強化、ベースとバケツを置く理由は?

 チームは今年も、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会「マクドナルド・トーナメント」への出場を決めた。滋賀県代表をかけた決勝は8-0で快勝。しかも、ノーヒットノーランと圧倒的な強さを見せた。「世界一楽しく! 世界一強く!」を掲げるチームは、連覇を果たした2019年以来となる日本一を見据えている。

 毎年のように全国大会で上位に進出する多賀少年野球クラブに対し、周囲からは「練習環境に恵まれているから」「いい選手が集まっているから」といった声も上がる。だが、練習を見れば、この指摘が不正確な表現だと気付くだろう。

 練習場所に苦労している首都圏のチームと比べれば、確かに環境は整っている。同時に5か所でマシン打撃ができるグラウンドの広さと設備は、少年野球チームでは珍しい。ただ、その環境を最大限に生かす練習内容と指導方針にこそ、強さの理由がある。例えば、マシン打撃。辻監督は、それぞれのマシンの後ろにネットを設置して、近くにベースとバケツを置く。そして、選手に呼び掛ける。

「打球を捕ったら、ベースの隣にいる子に送球。一番元気に呼んでいる子に送球するように。バケツをいっぱいにできた人が勝ちだからな」

 打撃をする選手以外は守備につき、そのうち5人はそれぞれのベースについて一塁手の役を務める。一塁手はバケツをいっぱいにしようと、仲間に大きな声で指示を出す。その様子を辻監督は、微笑みながら眺めている。「声を出せ」「送球は強く」「一塁手が捕りやすいボールを投げろ」など指示を出さなくても、ゲーム性や遊び感覚を取り入れて、選手自らが考えて動く仕組みを作っている。打撃練習をする選手は与えられた時間を自由に使える。フルスイングする選手、バスターやバントをする選手、進塁打を繰り返す選手など様々。個々に課題と向き合っている。

内野守備の練習では送球までの時間とスピードを測定する

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