教員の“働き方改革”で広がる困惑 野球特有の問題も…「部活」は「地域」に移行できるか?

教員の“働き方改革”で広がる困惑は中学の野球部にも波及
教員の“働き方改革”で広がる困惑は中学の野球部にも波及

来年度から土日の部活動は地域に移行へ、教員は原則参加せず

 働き方改革は教育現場でも本格的に進んでいる。長時間労働を防ぎ、教員の心と体の健康を保つ目的自体は歓迎されている。一方、このままでは子どもたちが置き去りになると懸念されている問題の1つが部活動。中でも野球は、特有の課題があるという。中学校の教員らは「10年後には軟式野球をする子どもが、ほとんどいなくなる」と危機感を口にする。

 もどかしさや焦りばかりが募る。部活動の転換期を迎えているにもかかわらず、子どもたちを預かる現場の教員には打つ手がない。一般社団法人「福島ベースボールプロジェクト」の代表理事で、中学校教諭の磯崎邦広さんは不安を隠せない。

「事務連絡のような形で、部活は地域に移行していくというゴールは国から示されています。ただ、国が仕組みをつくっていないので、学校現場は困惑しています。子どもたちが置き去りになっています」

 来年5月から中学校の部活は大きく変わる。国は、土日の部活に教員が関わる必要はないと指針を示している。働き方改革の一環で、長時間労働を解消するためだ。国は「月平均80時間以上の残業」を過労死ラインの基準に定めている。教員の場合、時間外労働は部活だけにとどまらない。事務処理に行事の準備や生活指導。部活の顧問で土日も活動すれば、過労死ラインを超えてしまう。

 教育現場の働き方改革によって、どの部活もこれまでと形は変わる。その中でも、「野球への影響は大きい」と磯崎さんは指摘する。理由の1つは、競技の特性にある。

「野球は攻撃も守備も色々なパターンがあります。効率良く2時間で指導するのも1つの方法かもしれませんが、ある程度の時間が必要になります」

野球特有の課題、数ある組織や連盟のトップが不在

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