大会前に「汗だくの練習は違う」 少年野球の“最強チーム”が掲げる型破りな方針

午前中に練習試合を組まず「小さい子どもたちは練習できなくなってしまいます」

「大会の数が多くなると、子どもたちも指導者も集中できなくなります。市長杯や招待試合などのローカル大会には出場していません。偉そうな言い方になりますが、確保できているうちのグラウンドに相手チームが練習試合に来ていただくと時間を有効に使えます。練習試合の反省点を、すぐに振り返って修正できるメリットもあります」

 試合相手はホームページで全国から募集している。ただ、午前中には試合を組まない。ここにもワケがある。

「試合を午後からにしているのは、午前中は練習で技術を磨きたいからです。今はメンバーが年中の園児から小学6年生まで80人近いので、練習試合で丸一日グラウンドを使うと、小さい子どもたちは練習できなくなってしまいます」

 午前中、辻監督はトップチームの選手をコーチに任せている。重点的に指導するのは、幼児や野球初心者。最初の段階で「投げる」「捕る」の基本を正確に身に付けさせる。多賀少年野球クラブが毎年のように全国で上位進出できる理由の1つでもある。

「トップチームの小学5、6年生は自分たちで考えて練習できるレベルに育っています。練習のポイントを伝えることはありますが、つきっきりで指導する必要はありません。多賀の子どもたちは、小学4年生くらいから一気に成長します。それは、早い段階で正しいフォームを覚えて、試合で生きる知識や戦術を学んでいるからです」

(間淳 / Jun Aida)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY