グラウンドへの挨拶も時間厳守も不要 “当たり前”に捉われない指導で全国大会連覇
「このチームでしか学べないことを伝えるのが自分の役目」
多賀少年野球クラブでは、練習開始時間に全ての選手がそろっていない。半分ほどの時もあれば、それ以下の時もある。時間を過ぎても、選手たちは慌てる様子もなくグラウンドに現れる。少年野球では異例と言える。
「子どもたちがチームに来る目的は、野球を楽しみながら上手くなることです。私たち指導者は、その目的を達成できるように全力でサポートしています。時間や規律を守る大切さは学校で教わりますし、挨拶は保護者が教えるべきです。もちろん、礼儀や挨拶が大切なのは分かっていますが、学校教育と家庭教育の責任を、野球という社会教育に頼らないでほしい。このチームでしか学べないことを伝えるのが、自分の役目だと考えています」
少年野球の常識を覆してきた辻監督だが、知らぬ間に自分自身が当たり前を受け入れていたと選手たちに気付かされる時もある。常識に捉われず、より良い方法を考える習慣がチーム全体に根付いている証とも言える。
「野球では『しっかり投げろ!』と子ども同士で声を張り上げるのが当たり前になっています。ただ、野球をしていない人は『何で仲間にあんな言い方をするのか』と感じています。私自身も気付いていませんでした。ただ、今の6年生は、そういう言い方をしません。仲間に『ベルトより上に投げてね』『送球が低すぎると捕った後にボールを投げるのが遅くなってしまうから』と伝えます。自分たち指導者が、子どもたちや野球を経験していない保護者の方から学ぶことも多いです」
(間淳 / Jun Aida)
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