“初見”の子どもに「アドバイスはしません」　元巨人守護神が恩師から学んだ指導論

現役時代に助言を受けた小谷正勝氏の指導法を参考

　大事にしている指導法は、現役時代の経験から導き出している。投手はグラブをつけた方の手を地面と平行になるまで上げて投球するように指導を受けるケースが多い。ところが、西村さんは腕が思うように上がらなかった。

　グラブを上げて投げるのは右投手の場合、左肩が開かないようにするのが主な目的。西村さんは「左腕が上がらなくても肩が開かずに入っていれば問題ないので、他の方法を探しました」と左手の親指を地面に向ける投げ方にたどり着いた。無理に腕を上げようとしている子どもたちに「無理をしなくて大丈夫。他の方法があるから」と伝えている。

　西村さんが子どもたちの投げ方をある程度見極めてからアドバイスするのは、ある指導者の影響が大きい。横浜、ヤクルト、巨人、ロッテで長らく投手コーチを歴任し、「名伯楽」と評される小谷正勝さん（現DeNAコーチングアドバイザー）。西村さんも現役時代に指導を受け、全幅の信頼を寄せていた。

「小谷さんは確信を持つまでアドバイスしない方でした。色んな角度から投手を見て、的確にワンポイント指摘してくれました。他の指導者からも様々なアドバイスをいただきましたが、小谷さんのやり方が自分には合っていました」