元巨人守護神が実践した“天井への投球” 子どもたちに伝えたい「遊び心」と「反復」
中学から柔らかいボールを真上に投げる練習を繰り返した
最多セーブのタイトルも獲得した元巨人の守護神は、遊び心を忘れずに技術を磨いていた。巨人一筋15年間の現役生活を過ごし、現在はジャイアンツアカデミーのコーチを務める西村健太朗さんは中学や高校時代、柔らかいボールやゴムを使ってボールの回転やコントロールを磨いていた。少年野球の子どもたちにも取り入れられる内容で、パフォーマンスアップのヒントがある。
巨人で抑えを任され、2013年には42セーブを挙げて最多セーブのタイトルも獲得した西村さんは現在、ジャイアンツアカデミーのコーチを務めている。中学2年で投手を始めてから現役引退するまで、遊び感覚を大切にしていたという。中学時代から続けていたのは、仰向けになってボールにスピンをかけて真上に投げる練習。「自分の感覚では、いい回転がかかると上に投げた球が手元に戻ってきます。暇な時によくやっていました」。自宅で柔らかい球を天井に向かって投げていたという。
3年春の2003年選抜高校野球大会で優勝を遂げるなど、2年春から4季連続で甲子園に出場した広陵高時代にはゴムを使って投球練習をしていた。ブルペンのホームベース前に棒を2本立てて、地面と平行になるようにゴムを張る。ゴムの高さは打者のベルト付近に合わせ、投球をゴムより下に通す。低めへの制球力を高める目的だった。
当時の広陵は全体練習の時間が短く、練習は選手の自主性に任されている部分が多かった。西村さんら寮生は夕食後や朝練習で、それぞれの課題に取り組んでいた。西村さんが中学の頃から現役を引退するまで時間を割いていたのがシャドーピッチングだった。
広陵では「自分のフォームや球筋を一番分かっている良き理解者」という、バッテリーを組んでいた広島・白浜裕太捕手にフォームをチェックしてもらった。「シャドーピッチングは球を使わないので、肩や肘に負担がかかりません。どこでもできるので、ずっと続けていました」。特に、左肩が開くクセの修正に重点を置いていたという。
投球練習だけが技術を高める方法ではない。同じ練習でも目的意識で効果は変わる。選抜大会を制し、プロでタイトルを獲得した西村さんの練習には少年野球の子どもたちがレベルアップするポイントも含まれている。
(間淳 / Jun Aida)
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