「メンタルは鍛えられない」全国大会2連覇の少年野球監督が伝える“緊張解消術”

多賀少年野球クラブの辻正人監督(中央)と選手【写真:間淳】
多賀少年野球クラブの辻正人監督(中央)と選手【写真:間淳】

緊張の要因は「知らないこと」にあるという

 2018、19年に全国大会2連覇を成し遂げた滋賀・多賀町の小学生軟式野球チーム「多賀少年野球クラブ」の選手たちは、緊張で体が固まることはないという。チームを指揮する辻正人監督の連載第9回は「緊張との向き合い方」。メンタルを鍛える方法はないが、緊張を克服する術があるという。

 試合になると、緊張でパフォーマンスが発揮できないと悩む少年野球の子どもたちは少なくないだろう。毎年のように全国大会で上位に進出し、安定した成績を残している「多賀少年野球クラブ」の辻監督は「メンタルは鍛えようがない」と話す。

「メンタルが強い、弱いというのは持って生まれたもので鍛えようがありません。ただ、緊張で体が動かなくなるのを防ぐことは誰にでもできます。周りの人からは『多賀の子どもたちは緊張しないんですね』『淡々と試合をしますね』と言われますが、普段から緊張に左右されない準備をしているからです」

 辻監督は、緊張を引き起こす最大の原因が「知らないこと」にあると指摘する。少年野球に限らず、大人も同様だ。

「例えば会社員が、きょうから3日間、知らない場所に行って研修を受けるとします。初日は、かなり時間に余裕を持って現地に向かう人もいるでしょう。どんな人が講師なのか、トイレはどこにあるのか、昼ご飯はどうするのか、分からない要素が緊張につながります。ところが、2日目になって知らなかったことが分かってくると、緊張は和らぎます。3日目は、さらに緊張やストレスは少なくなります。知らないことが緊張につながる一番の要因で、精神力が弱いと言われるのは予想ができていないためです」

「準備不足」解消のため想定外を“徹底排除”する

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