商品開発のアイデア料で少年野球の指導者サポートへ 野球用品メーカー社長の危機感

野球用品メーカー「フィールドフォース」の吉村尚記社長【写真提供:フィールドフォース】
野球用品メーカー「フィールドフォース」の吉村尚記社長【写真提供:フィールドフォース】

フィールドフォースは子どもや指導者の悩みを商品化

 少年野球の監督が“考案”したアイテムが、発売直後から品薄の大人気となっている。小学生がきれいに道具を並べることができるようになる「勝手に整理整頓シート」は、野球用品メーカー「フィールドフォース」の吉村尚記社長が、指導者のアイデアを商品化したものだ。さらに今後、売上の一部を指導者やチームへロイヤリティとして支払う構想を進めている。大半がボランティアという少年野球指導者の環境を変えなければ、将来的に指導者を志す人材がいなくなるのではという危機感が、根底にあった。

 このままでは少年野球の指導者を担う若い世代がいなくなってしまう。フィールドフォースは、少年野球の子どもや指導者の悩み解消につながる商品を製造・販売してきた。まだ握力が弱い子ども向けの柔らかいグラブ、正面からトスを上げる打撃マシンなど、現場で見聞きした悩みが商品開発のきっかけになっている。吉村社長は少年野球から社会人やプロまで幅広いカテゴリーのチーム関係者と交流しているが、「少年野球の指導者が最も大変」と言い切る。

「学童・少年野球の指導者は基本的にボランティアです。自分の時間を削って、時には身銭を削って、子どもたちを育成しています。選手だけではなく、もっと指導者に光が当たる活動をしてきたいと、ずっと思っていました。自己犠牲が当然になっている指導者の環境を変えなければ、少年野球も野球界も盛り上がっていきません」

 少年野球の指導者は高校野球や社会人野球と違い、平日は全く違う仕事をして、土日祝日に子どもたちを指導している。この現状に吉村社長は危機感を募らせている。そこで、構想を進めているのは、指導者のアイデアをお金に還元する方法だ。

ロイヤリティ支払いは「結果的に子どものためになる」

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