「世界基準」で目指す共通のゴール 高校サッカーの名将も驚く野球界との“違い”
トレセン、リーグ戦、カテゴリー超えた交流 世界で活躍する人材育成へ
サッカー界には、あらゆる取り組みに共通する“ゴール”が定められている。サッカー界の有識者への取材から、野球界の疑問や課題を考える連載の第3回は、7月の全国高校総体(インターハイ)で優勝した前橋育英高(群馬)の山田耕介監督に聞く。中学や高校世代の野球界では一般的ではないトレーニングセンターやカテゴリーを超えた交流、リーグ戦は全て「グローバルスタンダード」で、世界で活躍する選手の育成には必須の仕組みだという。
野球界から見ると珍しく映る仕組みには、キーワードがあった。「グローバルスタンダード」だ。名門・前橋育英高サッカー部を率いる山田監督は、サッカー界全体で目指す明確なビジョンを口にする。山田監督は同校で40年以上サッカー部を指揮し、インターハイでも、冬の全国高校選手権でも頂点に立っている。これまでに輩出したプロ選手は、元日本代表で現在はJ1名古屋のGMを務める山口素弘氏に始まり100人を超える。
「サッカー界は『世界と比べて何が足りていないのか』を考えています。基準はヨーロッパや南米です。あらゆる取り組みは、世界で活躍できる選手を育てるためのものです」
サッカー界では当たり前となっているトレーニングセンター、通称「トレセン」はグローバルスタンダードを象徴する1つだ。市町や県で能力の高い選手を選抜して、トレセンの指導者が定期的に指導する。そこで突出した力を発揮する選手は関東や九州といった地域のトレセン、さらに全国から選手が集まるナショナルトレセンへと進む。才能を埋もれさせない狙いがある。