初心者も“楽しさ倍増”するゴロ&フライの捕り方 少年野球の名将が伝授するコツ

ゴロを転がす多賀少年野球クラブの辻正人監督【写真:間淳】
ゴロを転がす多賀少年野球クラブの辻正人監督【写真:間淳】

滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督はチームで園児も指導

 野球は難しい。野球は面白くない。子どもたちが本来の楽しさを知る前に、競技から離れてしまう理由のひとつに「捕球」がある。今夏も全国大会に出場した滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、未経験者や初心者にポイントを絞ってゴロやフライの捕り方を伝えている。子どもたちはコツを掴むとボールを捕る楽しさを知り、自ら練習するようになる。

 握力の弱い子どもたちにとって、グラブでボールを捕るのは大人が想像する以上に難しい。しかも、ゴロやフライを捕球するには、打球の速さや方向に合わせる必要がある。

 今夏も“小学生の甲子園”と呼ばれる「高円宮賜杯第42回全日本軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」に出場し、2019年には大会連覇を果たしている多賀少年野球クラブにも、野球未経験の園児や小学校低学年の児童が入ってくる。チームを率いる辻監督は、ゴロ捕球の基本を子どもたちに伝える時「手首、手首」と大きな声で繰り返す。

 まず、辻監督は初心者に対して手でゴロを転がす。そして、捕球する時に手首を手前に返すようにアドバイスする。これは、軟式ボールに硬式とは違った特徴があるためだという。辻監督は「軟式は硬式よりも軽いので、手首を使ってボールに重みを与えます。ボールに重みのある硬式は受け身でも打球がグラブに収まりますが、軟式は自分から捕りにいって打球をグラブで包み込むイメージです」と説明する。

 野球を始めたばかりの子どもにフライの捕り方を教える時に大切なのは、ボールへの恐怖心を持たせないこと。子どもに耳の横でグラブを構えさせて、グラブを動かさなくても捕球できるように手で山なりのボールを投げる。辻監督は「子どもたちが怖さを感じないよう、体の正面以外にフライを投げます」と話す。

 軟式ではなく柔らかいボールを使って練習するチームもあるが、「柔らかいボールや軽いボールはグラブで弾いてしまうので、恐怖心がなければ軟式ボールを使って大丈夫です」と続ける。フライやゴロをグラブに収める感触を知ると、野球の楽しさが倍増する。

(間淳 / Jun Aida)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY