1日100人以上も…子どもに電話させるワケ 少年野球で半世紀続く“おばちゃんイズム”

山田西リトルウルフの「おばちゃん」こと棚原安子さん【写真提供:山田西リトルウルフ】
山田西リトルウルフの「おばちゃん」こと棚原安子さん【写真提供:山田西リトルウルフ】

棚原安子さんが代表務める山田西リトルウルフ、練習場所の確認は子どもの役割

 大阪・吹田市で活動する少年野球チーム「山田西リトルウルフ」は、子どもの心を育てることをモットーに、野球を通じた人間形成に力を入れている。チームの代表を務める“おばちゃん”こと82歳の棚原安子さんは、練習時間以外でも選手の社会性を育んでいる。

 週末の練習を控えた金曜日。放課後になると、おばちゃんは大忙しだ。ひっきりなしに電話がかかってくる。「子どもたちに『自分で次の日の練習場所を聞きなさい』と言っているんです」。

 棚原さんは「12歳までは人間形成で一番大事な時期」と考え、子どもたちの生活態度や家庭での行動にも目を配る。電話対応も社会勉強の一つ。チームは小学1年から6年まで計130人を超えるため、学年ごとに練習場所が異なる。選手自身が棚原さんに電話で練習場所を確認し、保護者に送迎をお願いする。こうした行動の積み重ねが自立につながっていく。

 高学年は、すでに電話対応を身に付けているため、棚原さんが連絡を受けるのは3年生以下のみ。それでも、50人を超える。選手が多かった頃は100人以上から電話が来ることもあった。子機と携帯電話を手にして「2人ともいっぺんに話すからよく聞いて」と、電話の“二刀流”で練習場所を伝えることもあったという。

「無償で体を動かすことが大事」自分の時間は保護者や子どものために

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