子どもへの過度な期待&叱咤は「成長止める」 日本一の監督が保護者に求める役割
全国大会優勝上一色中・西尾監督「保護者も含めてチーム」
小、中学生が野球をする上で、保護者のサポートは不可欠となる。程度の違いはあっても、保護者は子どもたちやチームと関わりを持つ。8月の全日本少年軟式野球大会で優勝した東京・上一色中では、指導者と保護者が「近すぎず遠すぎない関係」を築いている。チームを率いる西尾弘幸監督は「保護者も含めてチーム」と話す。ただ、保護者が過度に子どもへ期待をかけたり、厳しく叱ったりするのは「子どもの成長を止める」と注意を呼び掛けている。
上一色中では保護者がローテーションを組んで、選手を練習や試合場所まで車で送迎している。西尾監督は「遠征の時に車出しなどのサポートをしていただくことがあります。ただ、選手の怪我や熱中症に対応する休日の当番は、部員数が多いため回ってくるのは数か月に一度くらいです」と説明する。
「以前はバスで遠方への遠征をしていましたが、保護者の出費やコロナ感染拡大のこともあり、最近は遠方にはほとんど行かなくなりました。保護者の皆さんには、チームのサポートが負担にならないようにしたいです。ただ、実際にグラウンドに来ていただき、どんな練習をしているのかはぜひ見てほしいという思いはあります」
西尾監督は自身と保護者の関係性を「近すぎず遠すぎない関係」と表現する。保護者は打撃用ネットの補修や練習試合の審判など自主的にチームを支え、サポートを通じて保護者同士が交流を深めているという。
「私は教員なので、部活でも教員と保護者の自然な関係性のままです。監督ではなく、学校と同じように先生と呼ばれています。私が怖くて近づけない保護者はいないと思います。私から保護者に話しかける時はありますが、ベラベラ話すわけではありません。こちらから何も言わなくても、いろんな部分でチームをサポートしてもらっているので、感謝することが多いです」