目の強化と柔軟性アップで“将来”が変わる 小、中学生が習慣にしたいトレーニング

苦手な目の動きをチェックして強化 柔軟は小学校低学年から習慣に

 塩多さんが実演したメニューのひとつは、自分の苦手な目の動きを知り、弱点を克服するトレーニング。片方の腕を前に出して親指を立て、アルファベットの「H」を描くように腕を動かす。立てた親指を両目で追うと、スムーズに追えるところと追えないところを把握できる。苦手な場所は目で追うスピードが落ちたり、顔やまぶたが動いたりする。指が2本に見える場所は弱点だという。

 上に動かした指を見る時に左目がスムーズに動かなければ、右打者の場合は高めの投球を打つ時に反応が遅れやすくなる。目の動きは守備で打球に反応する時のスピードにも影響する。

 神経系のトレーニングに加え、小学校低学年のうちから強化して習慣化したいのが柔軟性。塩多さんが取り入れるメニューには「ジャックナイフストレッチ」がある。しゃがんで両方の足首を持ち、胸と太ももをピッタリくっつける。そして、頭をかがめたら、体勢を保ちながらお尻を上げていく。10回ほど繰り返してから前屈をすると、トレーニング前よりも体が柔らかくなっていることを実感する。

 こうしたメニューを複数組み合わせ、週3回、3か月続けると野球のパフォーマンスが変わってくるという。「上手くできないことに成長のヒントがあります。上手くなる選手は、上手くいかないことに対して粘り強く継続的に取り組める共通点があると感じています」と話す。また、中学生も神経系の強化は重要で、小学生向けのトレーニングでも上手くできないメニューは取り入れるよう勧めている。

「成長期の小、中学生で神経系を鍛えて体の反応や動かし方を身に付けたり、動きのバリエーションを増やしたりすると、高校や大学など先のステージで必ず生きてきます」

 野球のパフォーマンスを上げる方法は、打つ、投げるといった練習以外のトレーニングもある。特に先のステージで活躍するためには、目や体の動かし方、柔軟性を早くから覚える大切さを塩多さんは強調している。

<プロフィール>
塩多雅矢(しおた・まさや)1982年5月11日生まれ、山口県下松市出身。佼成学園高校から東京学芸大学教育学部に進学。ウィダートレーニングラボでの勤務を経て、臨床福祉専門学校、東京学芸大大学院卒業。理学療法士の資格と高校一種教員免許を持つ。2016年に中学や高校の部活動をサポートする「部活体塾」を設立。現在は野球部を中心に約20校で指導する。小学5年生から本格的に野球を始め、高校は硬式野球部、大学では軟式野球部に所属。

(間淳 / Jun Aida)

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