打席やマウンドで「緊張するのは大切」 専門家が少年野球の子どもに伝える“克服法”

緊張の対処法に有効な深呼吸…ポイントは「息を吐く方に集中」

――深呼吸をすると、どんな効果があるのでしょうか? 注意点はありますか?

 ラジオ体操の影響なのか、深呼吸は大きく息を吸ってから吐くイメージが強いと思います。ただ、緊張した状態で思い切り息を吸うと逆に力が入ってしまうので、息を吐く方に注意を向けて呼吸を整えると上手く脱力できます。先に息を吐いたら必要なだけ自然と吸えますね。お風呂に入った時やソファに座った時を想像してみてください。大半の人が、フーと息を吐くと思います。このリラックスしている状態をイメージした呼吸をするなどの対処をしてから打席に入ると、悪い緊張によるパフォーマンス低下が減るはずです。

――普段の練習を通じて緊張に慣れる方法はありますか? また、指導者や保護者がどんなサポートをすれば、子どもたちが緊張に対応できるようになりますか?

 練習で試合と同じような緊張感を持つのが理想です。そうは言っても、練習と試合は違うので、全く同じというのは難しいですね。私は選手たちに、1日、1日が試合につながっていると認識する大切さを伝えるようにしています。50日後が試合なら練習の機会は49日しかありません。実際にはオフの日もあるので、もっと少ないですね。日数が減っていく意識を子どもたちが持つことで、日々の練習に危機感や緊張感が生まれます。周りの大人は普段から「緊張しなくていい」と伝えるのではなく、「本気になっているから緊張する、頑張っているから緊張する」と子どもたちが緊張を肯定的に捉えられるような言葉をかけるといいと思います。

緊張で失敗する選手と力に変える選手の違いは「今への意識」

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