10年連続ドラフト指名を狙う四国IL徳島 選手全員がプロ志望…驚きの球団運営とは?

徳島インディゴソックスの取締役兼球団代表を務める谷田成吾氏【写真:工藤慶大】
徳島インディゴソックスの取締役兼球団代表を務める谷田成吾氏【写真:工藤慶大】

慶大で六大学通算15HR…取締役兼球団代表の谷田成吾氏が解説

 20日に行われるプロ野球ドラフト会議で、10年連続となる指名を狙っている球団がある。大学野球の名門校でも、都市対抗常連の社会人チームでもなく、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスだ。では、なぜ四国の小さな球団がこれほどまでにNPBに選手を輩出できるのだろうか。「日本で一番、選手をNPBに入れている」独立球団の秘密に迫った。

 秘密を教えてくれたのは徳島の取締役兼球団代表を務める谷田成吾氏。野球好きなら聞き覚えのある名前ではないだろうか。慶応高(神奈川)では高校通算76本塁打を放ち、慶大でも東京六大学通算15本塁打で沸かせ、「高橋由伸2世」とも呼ばれたスラッガーだ。その後は社会人野球のJX-ENEOS(現ENEOS)、徳島と渡り歩いて引退。2019年12月から現職に就き、直接スカウティングには関わってはいないが、広報活動などをメーンに球団経営に携わっている。

 谷田氏は、9年連続でNPBに選手を輩出している最も大きな要因は「いい循環」にあると話す。「ドラフト指名されるから選手が集まり、またいい選手が集まるから指名されるんです」。この流れを作るために、高校、大学、社会人チームとの関係作り、トレーニング施設などの環境整備など地道な努力を重ねてきた。「選手を獲ってきて、育てて、送り出していくというその3つをそれぞれ頑張ってきたというのが一番だと思います」と明かす。

 最初の秘密は「どんな選手を獲ってくるか」だ。高校、大学、社会人チームと一から信頼関係を築き、NPBまであと一歩という選手たちを紹介してもらえるようになった。「NPBに入っていける選手しか獲っていません。より高いレベルを目指している選手を基本的には獲っています。独立で長くプレーしたいという選手は獲っていないです」。給料もけっして高いほうとは言えないが、「プロに行くなら、インディゴよりいいところはない」と多くの選手に選んでもらえるようになった。

 実際に、谷田氏自身もNPBを目指す最後の舞台として徳島を選んだ。「自分も納得して終わりたくて、インディゴを選びました。ここでダメだったらしょうがない、どこに行ってもダメとなるので、選手も納得いくと思うんですよね。そう思ってもらおうという思いで、今もやっています」。では、NPBを目指して入団した選手たちをどのように育成していくのだろうか。

 2つめの育成において重要なのは「チームの方向性と選手の思いが一致」していることだ。数ある独立球団の中でも、徳島はNPBを目指すことに重きを置く。そして選手も、例外なく全員がNPBを目標にプレーしている。「今のインディゴの選手はプロに行きたい人が100パーセント。僕自身も社会人野球でやっていたからわかるんですけど、そこの気持ちが一致しているとプレーしやすいと思います」と、NPBに行くためにプレーする環境を整える。

投手は「150キロを投げられないと話にならない前提でやっています」

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