フライを「両手で捕れ」は正しいのか? プロの名手が野球少年へ明かす守備のコツ

左肩の前で捕らざるをえない状況もある

「現役時代、レフト前方のフライは得意で、センター前方のフライは苦手意識があったんです。レフト方向のフライは右側で捕ることができますが、センター方向の場合は左側で捕らざるをえなくなります」

 自分自身の得手不得手を理解しておくことも、プレーの上達には欠かせないことだろう。苦手なプレーこそ、練習を重ねておきたい。

 また、フライ捕球に関して、「両手で捕りなさい」という教えを受けた子どもたちもいるのではないだろうか。しかし、プロの世界を見ると、シングルハンドキャッチが当たり前だ。大引さんは、どんな考えを持っているのか。

「片手で捕るほうが、腕が動く範囲が大きくなり、余計な力が入りにくいと思います。あえて言うのであれば、捕球時に右手でグラブにフタをするように、手を添えたほうが安全ですが、それを意識して動きが硬くなるのなら、片手でいいと思います」

 子どもたちの中には、「両手で捕ろう」と思うばかりに、フライがうまく捕れない選手もいるかもしれない。片手で捕ることは何ら悪いことではなく、腕の自由が利きやすいことを覚えておきたい。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。近著に『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う監督たち』(カンゼン)がある。

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