4点追う序盤にスクイズは正解? 少年野球でノーサインを可能にする“野球脳”の育成

ノーサイン=フルスイングは誤解 選手自らベストな方法を実行

 誤解されがちだが、多賀少年野球クラブのノーサイン野球は、どんな場面でもフルスイングする野球ではない。監督やコーチの指示を受けずに、チームにとってベストな方法を選手自らが考えて実行する。そのために不可欠なのが座学で、辻監督は重要な戦略や戦術を繰り返し選手に伝えている。

「小学校は6年間あります。1年生や野球を始めたばかり時期はフルスイングだけを目的としますが、野球歴2年、3年になると徐々に戦略を立てた攻撃や守備を覚えていきます。野球歴を重ねるごとに理解を深めて精度を高め、6年生で完成させるのが少年野球の役割です」

 多賀少年野球クラブに所属する選手は約100人いるため、辻監督の座学には相当な労力と時間がかかるに違いない。指導者がサインを決めて選手を動かした方が効率はいいように感じる。しかし、辻監督は「最初は大変だと思ったのですが、実はそうでもないんです」と笑顔で話す。

「今は6年生が5年生、5年生が3、4年生を教えています。6年生はホワイトボードを使って、講師として小学校低学年に説明する時もあります。2年生の後半くらいになると、大人と同じくらいの知識が身に付いています」

 人に教えると、自分の知識も深まる。辻監督の教えはチームに染みわたり、座学が伝統となっている。

(Full-Count編集部)

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