語源を知り「涙しながらおにぎりを握った」 野球少年の父母に捧ぐ、願いの儀式

母と子の「おにぎり」を通したエピソード
母と子の「おにぎり」を通したエピソード

全国各地で野球少年の保護者のため、子どもの未来のために講演する年中夢球氏

 リトルリーグなどで約20年、野球の指導者として活動した人気の野球講演家・年中夢球(ねんぢゅうむきゅう)さんは、心に刺さる言葉で数多くの選手や保護者・指導者をメンタル面でサポートしている。子どもの昼食や補食のために父母が用意する「おにぎり」にも深い意味がある。話を聞いたある保護者から「涙しながら、おにぎりを握りました」と連絡をもらったこともあったという。

 諸説あるがおにぎりは「鬼を切る」という語源がある。魔除や厄払いの効果もあるとう。おむすびは「お結び」。良縁を結ぶという意味から縁起が良いものとされている。年中夢球さんは「年齢があがっていけば、母親が子どもにできることは少なくなります。おにぎりを握ることやユニホームを洗うことくらいしかないかもしれない。そこに願いを込めることになると思います」と語る。野球に限ったことではないが、おにぎり1つでも、子を大切に思う気持ちを込めてほしいと願い、講演などで伝えている。

 魔除の効果があるのなら「怪我をしないでほしい」という願いを込めたり、良縁を願うならば「いい指導に出会えますように」「いいチームに入れますよう」という祈りもあるだろう。語源の意味を知った母親から「おにぎりを握るのが楽しくなった」「握りながら息子の顔が出てくるようになりました」「子どもの顔を思いながら、おにぎりを握るようになりました」という声も届くようになった。

 高校野球最後の日を迎えたある母親は「もしかしたら野球選手としての息子に作るおにぎりが最後かもしれない」と思うと、つらくて涙が出たという。「涙しながら、おにぎりを握りました。いつもよりしょっぱかったかもしれませんね」と笑っていた。そのほかにも「素振り」。「すぶり」と「そぶり」ではスイングの質が違うことや「親」という漢字の成り立ちから、子どもと保護者の距離感についての話など、年中夢球さんの“引き出し”には揃っている。幸せな野球人生を送るための大事な指針になるかもしれない。

(First-Pitch編集部)

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