「野球=お金持ち」のイメージ払拭 明大前駅から徒歩1分“格安”練習場を作ったワケ
長男がチームに入って再び野球と接点、投手コーチ任され疑問が…
並木さんは野球に没頭した。「どうせやるなら全力で」とチームメートに追いつくため人一倍練習。上達していくのが楽しかった。本を読んで知識を増やすなど、自分なりのトレーニング方法も取り入れて上のレベルを目指した。肩を痛めて野球歴は4年ほどに終わったものの「希望を持てたのは野球のおかげです」と感謝する。
再び野球との関わりを持ったのは5年前。現在小学6年生の長男が、軟式野球チームに入った時だった。野球経験者の並木さんはチームの投手コーチを頼まれた。子どもたちを指導しているうちに、ある疑問が芽生える。
「自分の感覚で教えてもいいのだろうか」
野球の指導に絶対はないかもしれない。ただ、自分自身の感覚や経験ではなく、根拠が必要だと考えた。自身が選手としてプレーしていた頃から約20年経っている。考え方や練習方法は当時から変化している。並木さんは本を読んだり、トレーナーや指導者の話を聞いたりして、小学生に必要な体の使い方や怪我の予防について学んだ。
運動能力が伸びる小学生年代は動きのバリエーション習得、剛性と柔軟性の大切さを伝え、バットやボールを使わないトレーニングも取り入れている。並木さんは「小学生は目の前の大会で勝つ以上に、中学生以降に生きる体の使い方や考え方を身に付けることが大事だと思います。野球を通じた成功体験で、挑戦や課題を解決する考え方を培う大切な時期だと思っています」と語る。
5年前は10人ほどだったメンバーは今、常時35~40人になった。並木さんは野球をする子どもたちが増えたことにうれしさを感じる一方、子どもたちが希望を失わないように環境の向上を目指している。新設した室内練習場には、ラプソードやメディシンボールといった機器やトレーニング用具を設置。子どもや保護者、指導者に怪我を予防する知識を得てもらうために、トレーナーを招いたイベントも開催している。