働き方改革で“やりがい”を失う教員も? 野球の競技人口減少ともう1つの不安

「指導力ある先生が指導機会を失うのは野球界の損失」

 野球界や教育現場で指摘されている課題は、競技人口の減少だけではない。教員が働きがいの1つを失う心配がある。部活動がクラブチーム化した場合、指導したい教員も関われない可能性があるという。

 地域移行に伴い、各自治体は兼業制度を設けた。申請を出した教員が所属する教育委員会の許可を得て、指導に関わる制度だが、指導に関わる時間は労働基準法の時間外勤務に基づくため、通常の残業と合算される。つまり、学校の業務で時間外労働が増えれば、兼業として認められないケースも出てくる。土屋さんは不安を隠せない。

「部活動に熱心な教員の多くは単なる野球の技術指導だけではなく、日常の学校生活も生徒とともにし、喜びや悔しさを分かち合うことで豊かな人間形成を目指しています。つまり、部活動であるからこそ熱心に指導できるという先生方も少なくありません。地域移行したときにどれだけの先生方が指導に関わってくれるのかはわかりませんが、指導力のある先生方が指導機会を失うことは野球界にとっても大きな損失です」

 教員の働く環境を改善させる必要性は言うまでもない。ただ、部活動の指導を通し、素晴らしい教育活動に従事し、教育界に寄与している教員がいるのも事実。地域移行と並行して、指導者の待遇も変えていくのがクラブチーム化の成功のカギではないだろうか。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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