「1死三塁」の教えで強くなる 理不尽な指導を防ぐ効果も…多賀少年野球クラブに浸透する走塁意識

理不尽な指導や怒声罵声を防ぐ効果も 「1死三塁」の考え方

「三塁を狙ってアウトになった選手を叱る指導者もいると思いますが、基準や目的を明確にしなければ選手は戸惑ってしまいます。パスボールやワイルドピッチといった相手バッテリーがミスした時も同じで、次の塁を狙うかどうかはセーフになるかどうかというタイミングの問題ではありません」

 1死三塁や無死二塁をつくる目的がチームに浸透すると、選手は打席や塁上で自分の役割に徹する。「1死三塁」の考え方をベースに選手たちは応用していく。

 無死二塁であれば、二塁走者は無理して三盗は狙わない。犠打や内野ゴロでアウトカウントと引き換えに1つずつ進塁すれば得点できるからだ。打者が四球を選んで無死一、二塁となれば、ダブルスチールで無死二、三塁にして2得点を狙う攻撃も選択肢になってくる。

 このようにチームの戦術が明確になっていれば、指導者が結果だけを見て選手を叱るケースもなくなる。仮にアウトになっても、選手の選択には根拠があり、ベストな方法であれば、叱る理由がない。実際、辻監督は10年ほど前から自身の考え方を座学で選手に伝えるようにしてから、これまでの“スポ根”指導を脱却している。

 結果論で指導される選手に、監督やコーチの言葉は響くのか。信頼関係は生まれるのか。辻監督が重視する「1死三塁」が問いかけている。

(間淳 / Jun Aida)

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