少年野球のカリスマが「本当は秘密にしたい」真髄 選手の成長止める“的外れな批判”

無死三塁の守備でバッテリーが一か八かの牽制球をするワケは?

 この根本には「1死三塁では必ず点が入る」という考え方がある。攻撃であれば、1死三塁から内野ゴロやスクイズで得点できる。つまり、無死三塁で打席に入った打者はアウトになっても構わないため、長打を狙うのだ。

 守備で1死三塁のピンチを迎えた時は、1点取られるとあきらめているという。だからこそ、無死三塁の場面では一か八か走者をアウトにする方法を選ぶ。仮に牽制悪送球で失点しても痛手はない。

 座学で学んだことを選手たちは試合で表現する。しかし、保護者が内容を理解していないと、無死三塁の打席で強振したり、牽制で悪送球して失点したりした時に、子どもを叱ってしまう可能性がある。辻監督は、こう話す。

「選手がベストだと判断したプレーを保護者が批判すると、選手の成長を止めてしまいます。多賀の子どもたちは大人の指示ではなく、常に自分たちで考えて動いています」

 小学校低学年の時から座学を受ける選手たちは、高学年になると次のプレーはもちろん、2手、3手先の動きまで考えているという。選手が安打や凡退といった結果だけで評価されないように、辻監督は保護者にも座学の内容やチームの考え方を伝えている。

(間淳 / Jun Aida)

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