「街に出たら多分危ない」 護衛が常駐…元DeNA乙坂が政情不安の国でプレーした理由

リードオフマンとしてチームを牽引し続けた【写真:本人提供】
リードオフマンとしてチームを牽引し続けた【写真:本人提供】

センターの守備からメジャー選手の打撃を観察「調子が上がりました」

 そして、野球漬けになるしかない環境を、乙坂はプラスに捉えた。かつて巨人でも通訳を務めた小池一郎氏との二人三脚で、試合中はベンチにいる小池通訳に打席の動画撮影を依頼。バスの移動中、携帯の電波が圏外になることがほとんどだったため、移動中は常に自身の打席動画を細かくチェックし、打撃の改善に努めていたという。

「携帯電話が、街を外れると圏外になるので、バス移動中、ずっとやる事がないんです。だから、試合中、通訳さんに撮ってもらった自分の打席の動画を何回もずっと見ていた。本当にそれしかやることがなかったんです。でも、それをしたことで小さな変化にも気付けた」

 開幕当初は不安でいっぱいだった。「初戦、相手投手のマウンドでの投球練習を見て、こんなもんかと思っていたら、初球いきなり98マイル(約158キロ)の直球が来た。マジか……と驚いていたら、スライダーを2球続けられ、3球三振。これはヤバいところに来ちゃったなと思いました」。メキシコで8月にシーズンを終えた後、その後もメキシコで自主トレを続け、開幕前にはベネズエラでのチームのキャンプにも参加したが、これまで日本では経験したことのないカレンダーで「調整が難しかった」。一時.360まで上がった打率が3割を切った時もあった。

 それでも、守備位置のセンターから見える相手打者の打撃フォームも参考にして不調を乗り切った。「来年WBCが開催される影響だと思いますけど、他のチームには、ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.外野手やヤンキースのグレイバー・トーレス二塁手、ロイヤルズのサルバドール・ペレス捕手、ルーグネッド・オドーア二塁手らメジャーでバリバリやっている選手が出ていたんです。センターから打席の様子が良く見えたので、打席の入り方、重心移動などを観察して、それを取り入れて調子が上がりました」。

 結果、約2か月のレギュラーシーズンを完走し、リーグ4位の打率.333。1度も出塁できなかったのはわずか出場50試合中2試合だけで、16試合連続安打や、開幕からを含め2度の23試合連続出塁も記録。出塁率も.432(リーグ15位)と、リードオフマンとしてチームを牽引し続けた。

高地メキシコでプレーして守備も向上「日本にいた時より上手くなった」

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