「振りかぶっても勢いは変わらない」 外野手が正確性を身につける“山なり送球”

独立リーグ「火の国サラマンダーズ」で臨時コーチを務める坂口智隆氏(中央)【写真:橋本健吾】
独立リーグ「火の国サラマンダーズ」で臨時コーチを務める坂口智隆氏(中央)【写真:橋本健吾】

独立リーグ「火の国サラマンダーズ」で臨時コーチを務めた坂口智隆氏

 オリックス時代にゴールデングラブ賞を4度受賞した坂口智隆氏は、今年から独立リーグ「火の国サラマンダーズ」で臨時コーチを務めている。今回は、以前に「First-Pitch」で紹介した「正確性を身につける山なり送球」の応用編。NPB入りを目指す選手たちに実際に授けた、ワンランク上の“送球の極意”をお届けする。

 2月1日から熊本で始まった火の国サラマンダーズの春季キャンプでは、次々と外野手たちが名手の元に集まってきた。坂口氏は実際に短い距離で正確性を身につける“山なり送球”を披露しながら「ボールに回転をかけることが大事。極端に言えば、大きく振りかぶって投げることはしなくていい。スナップスローに体が付いてくるイメージ」と、アドバイスを送った。

 中継に入った内野手へ強い球を投げる際や、ダイレクトで本塁に送球する時は、大きく振りかぶって送球することが多い。だが、実際には「振りかぶって投げても、球の勢いはほとんど変わらない」と口にする。なぜなら、外野手は打球を処理する際に足を止めることはなく、走りながら捕球しそのまま勢いをつけ送球することになるからだ。

「できるだけ無駄を省く。『これで届くんだ』と体が先に覚えると、その後も動くイメージはしやすい」

 強く投げることだけを意識するのではなく、走者も視野に入れ、カットマンの位置も把握しなければいけない。外野手には投げること以外にも、やることはたくさんあるという。

 また、相手のランナーコーチについても言及。走者を先の塁に進めるか、自重させるかの判断について「リリースの瞬間を見てゴーかストップをかける」と指摘する。「どんな打球でも早く手からボールを放してあげる。だから正確な送球、少ない動きで強い球を投げる必要がある」。厳しいプロ野球の世界で20年間プレーしてきた男の言葉に、何度も頷く選手の姿があった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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