少年野球で怪我を防止する投げ方は? ポイントは2つ…アップでできる“手首の体操”

出張指導する東農大・勝亦陽一教授(左)【写真:間淳】
出張指導する東農大・勝亦陽一教授(左)【写真:間淳】

東農大の勝亦陽一教授はテークバック時の手の平の向きと2種類提案

 投げ方の正解は1つではない。東京農業大学の教授・勝亦陽一さんは選手に合った投げ方を尊重しながら、怪我を防ぐ体の使い方を指導している。少年野球では「テークバックの手の向き」と「手と体の距離感」に重点を置く。肩や肘を柔らかく使う体操も取り入れ、推奨している。

 勝亦さんは少年野球からプロ野球まで幅広いカテゴリーの選手をサポートしている。立ち方に代表されるように、パフォーマンスを向上させる体の使い方を主に指導する。1月下旬に出張指導した静岡県掛川市の少年野球チームの選手には、肩や肘の怪我を防ぐ投げ方も伝えた。ポイントは主に2つある。

 1つ目はテークバックの時の手の平。右投げの選手は、右の手の平が地面または三塁側を向いた状態で右肘を上げていく。2つの方法を試して、自分に合った動かし方を選択すれば良い。手の平を背中の方にひねってしまう(一塁側を向いてしまう)と、右肩が内側にひねられて右肘が背中側に押し出されてしまうため、肩や肘に負担がかかり故障のリスクを高めてしまうという。

 もう1つのポイントは球を握った手と体の距離。体に近いところから肘を上げると動きがスムーズになる。肘を伸ばして右手が体から離れた状態で右肘を上げても構わない。ただ、勝亦さんは体の回転に対して右腕の振りが遅くなり体の回転とタイミングが合わない選手に対して、右手の位置を体に近づけるよう助言している。

 胸や肩の柔軟性や可動域がある選手は、いわゆるアーム投げでも自然に体を動かせるが、体の作りとしては右手が体に近い方が右肘を上げやすい。勝亦さんは「内野手は体に近いところから肘を上げて投げる動きが大切です。遠くに投げたいと思うと腕を伸ばして反動をつけようとしてしまいがちですが、肩や肘への負担が大きくなってしまいます」と説明する。

 勝亦さんは体の動かし方に加えて、肩、肘、手首の柔軟性も大切にしている。出張指導では1人でできる体操を紹介し「肩や肘を柔らかく使えないと肩回りや投球フォームが硬くなり、体への負担やパフォーマンスに影響が出てきます」と話した。投げ方はクセがつくと修正に時間がかかる。子どものうちに故障のリスクを下げるフォームを身に付けることが将来の成長へとつながる。

(First-Pitch編集部)

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