親子の理想の距離感は? それぞれ異なる体の構造…“逆効果”になる経験の押しつけ

解決策を伝えるか、悩んで考えさせるか…大人に求められる子どもとの距離感

 父親は学生の頃、ゴロを捕球する時は腰を割って下から入るという指導を受けてきた。その考え方が当時は一般的で、ほとんどの選手が疑いなく受け入れてきた。しかし、時代が移り変わって、理論や技術は変化している。腰を落とした捕球が絶対ではなく、正解は選手によって異なる。木村さんが親子でも力が入る姿勢が違うことを体験してもらいながら説明すると、父親は息子に「今まで悪かった」と頭を下げたという。

 守備も打撃も投球も正解は1つではない。木村さんは、様々な動きを試して自分に合ったものを探す大切さを説く。プロ野球でタイトルを獲得した現役選手との会話を例に出し「どうやったら今よりもうまくなるかを考えて、色んな情報に接して、どれが合っているのか悩むことが大事だと話していました。葛藤して迷っていると、何かのきっかけで『これかも』と感覚がつかめます」と話した。そして、保護者や指導者にアドバイスした。

「子どもたちに解決法を伝えるタイミングなのか、悩んで考えさせる時なのか、難しいと思いますが距離感が大切になってきます」

 保護者や指導者の成功経験が、子どもたちにとっての正解とは限らない。“教えすぎる指導”は時に、選手の可能性を狭めてしまうことを忘れてはならない。

(First-Pitch編集部)

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