兵庫の名将が全国で勝てるようになった理由 決勝の壁を打ち破った“育成法と戦術”

神戸国際大付・青木尚龍監督【写真:橋本健吾】
神戸国際大付・青木尚龍監督【写真:橋本健吾】

神戸国際大付の青木監督「絶対的なエースが潰れたら厳しかった」

 一発勝負の高校野球で、勝ち続けるチームを作りあげるのは難しい。今年で監督生活33年目を迎える神戸国際大付(兵庫)の青木尚龍監督は、特定の選手に頼るチーム作りでは限界があると実感。複数の役割をこなせる選手の育成やベンチの選手を効果的に起用する戦術に転換したことで、勝ちきれるチームになったと語る。

 神戸国際大付は、これまで甲子園に春夏通算8回の出場を果たしているが、夏の甲子園に初出場したのは2014年。初勝利は2017年だった。それまでもに何度もチャンスはあったが、決勝で3度敗れるなど“壁”を打ち破れなかった。「夏はベスト16ぐらいから(それまでの戦いの蓄積疲労が)“ボディブロー”のように効いていた。ヘロヘロになるというかね。絶対的なエースが潰れたら厳しかった」と振り返る。

 主力選手に“一蓮托生”のケースが多く「エースともう1人。試合で使える投手は2人ぐらい。それでは厳しい。投手以外でも1ポジションの選手では厳しい」と痛感。ベンチ入りメンバー全員を“戦力”として起用できる育成法にシフトチェンジしていった。

「ここしかできない、という子を少なくしていった。(エースなど)気持ちで使う子もいるが、相手に合わない時は合わない。調子が悪ければ、それで終わってしまうから。その日の状態などを見て準備するようになりましたね」

 2021年夏の甲子園では4連続代打など、ベンチ入り18人中17人を起用しベスト8進出を果たした。エースや4番ら主力に全てをかけるのではなく、“勝負手”を増やす。青木監督の思考の変化が、あと一歩を乗り越えられなかったチームを変えていった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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