肩肘の故障を防ぐ親子の“スキンシップ” 小中学生の10%に問題も…早期発見がカギ

埼玉県野球協議会が開催した小学校高学年と中学生を対象とした肩肘検診の様子【写真:間淳】
埼玉県野球協議会が開催した小学校高学年と中学生を対象とした肩肘検診の様子【写真:間淳】

西武や高野連など加盟…埼玉県野球協議会が初の肩肘検診

 昨年3月に発足した埼玉県野球協議会が19日、西武の本拠地・ベルーナドームでベースボールサミットを開催した。グラウンドの開放やトークショーに加えて、今回は初めて小学校高学年と中学生を対象とした肩肘検診を無料で実施。約10%の選手の肘に問題が見つかった。埼玉県は野球が盛んだが、肩や肘を検診する意識や医療と指導現場の連携に課題があるという。

 埼玉野球協議会は西武をはじめ、県高野連や県野球協会、全日本少年軟式野球連盟や県中学野球連盟など、カテゴリーを超えて埼玉県内の組織や団体から構成されている。共通しているのは、野球人口減少への危機感。深刻な状況に歯止めをかけようと団結している。

 昨年3月に協議会が設立され、その2か月後には野球未経験者を対象にしたイベントを開催した。この1年間、野球の魅力を発信する取り組みを続ける中、今回は初めて野球の知識が豊富な医師や理学療法士を招いた肩肘検診も実施した。競技人口の減少に歯止めをかけるには、怪我で野球をあきらめる子どもたちを減らすことも不可欠と考えたためだ。

 肩肘検診では問診で選手の体の状態を確認した後、エコーで肘をチェックした。会場を訪れた小学校高学年から中学生まで83人のうち、8人に問題が見つかり病院での再受診が勧められた。

 埼玉県はサッカー王国と言われるが、野球の競技人口も国内で3本の指に入るくらい多いという。ただ、小、中学生の肩や肘の故障については決して関心が高くない。慶応大学医学部スポーツ医学総合センター助教でNPO法人さいたまスポーツメディカルサポート副理事の山田唯一さんが現状を語る。

「首都圏や関西の他の地域と比べて、埼玉県は肩肘検診への意識が広がっていません。私たち医療側が重要性を指導者や保護者に伝えきれていないことも原因の1つです。医療と指導現場の連携にも課題があります」

肩肘検診への意識が希薄…医療と指導現場の連携に課題

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